「魔法の料理」がくれた追憶の時間
君の願いはちゃんと叶うよ 大人になった君が言う
これから失くす宝物が くれたものが今 宝物
― BUMP OF CHICKEN『魔法の料理 ~君から君へ~』
この歌を初めて聴いたのは「NHK みんなのうた」。
調べてみたら2010年の放送だったようです。
BUMPといえば『天体観測』くらいしか知らなかった当時に、「こんなに優しい曲も作るんだ」と衝撃を受けました。
もちろん『天体観測』もノスタルジィを呼び起こしてくれる、とても大好きな曲です。
この歌は、ボーカルの藤原基央さんが“過去の自分に向けて書いた詩”だと言われています。
「願いは叶うよ」と語りかけてくれる大人の自分。その声を聞いている幼い自分。
未来からの手紙のような、不思議な優しさが胸に広がります。
そして歌詞の中には「失くす宝物」という言葉。
失ったものは二度と戻らない。けれど、その存在がくれた時間や思い出は、確かに今の自分を支えている。
“過去に握っていたものが、今の私を強くしている”――そんなメッセージが込められているように思います。
この曲を聴くと、どうしても祖母ちゃんのことを思い出します。
小さい頃、私を一番に気にかけてくれて、困っていると必ず「心配ないわ(笑)」と笑ってくれた人。
祖母ちゃんがくれた時間、言葉、笑顔――そのすべてはもう手の中にはありません。
でも今も心の奥で、ちゃんと宝物として息づいているのだと思います。
「失くす宝物が、くれたものが今 宝物」――まさにその通りです。
大切な人を失った時、人は「もう二度と手に入らないもの」に心を締めつけられます。
けれど同時に、「その人が生きた証」を胸に宿して生きていけるのもまた事実。
歌詞に背中を押されるように、私は今日も祖母ちゃんのくれたものを胸に歩いています。
大切なモノは、失っても消えない。
大切なものを失った痛みは分かる。
だが、それに縛られて立ち止まってはいないか?
その人が与えてくれたものを力に変えて、前に進もうじゃないか。
Let words be the wind. And the Ark sail.
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