二択の檻を超えて
敵か味方か勝ちか負けかを決めた瞬間
急に世界が あーあ 暗く狭まっていくの
みていたでしょ?さあ還ろう自由へと
― 椎名林檎『ジユーダム』より
この言葉を初めて聴いたとき、まるで新しい世界が目の前に広がったように感じました。
「敵か味方か」「勝ちか負けか」――その二択で物事を決めた瞬間、世界は暗く、狭くなってしまう。まさに私がよく陥っていた思考の落とし穴を、鮮やかに突かれたのです。
私は長いあいだ、「勝つ」というのは「自分の正しさを押し通すこと」だと思っていました。
でも、それは同時に「相手の声を黙殺すること」でもあった。
勝ち負けの軸に囚われれば囚われるほど、相手の存在も、自分の広がる可能性も、視野から消えていく。
本当は道や景色がたくさん広がっているのに、ざっくりした地図だけで「ここしかない」と決めてしまうようなものです。
本当は、勝ちでも負けでもない場所に「別の価値」があるのではないでしょうか。
その価値は、敵味方や正誤を超えた「間」に眠っている。
「正解」と呼べるものは、二択のどちらかではなく、その間に生まれる余白に潜んでいる――私はそう考えられる自分でありたいと思うのです。
だからこそ、二択を迫られたときにこそ、深呼吸をしてみたい。
そのとき吹き抜けるのは、勝敗を超えた自由の風。
視野を狭める檻を壊し、もっと広い空へ心を解き放つ。
そんな風を、この歌が私に運んでくれました。
Soulのそよ風
到達地点が二択しかないなんて、あまりにも寂しい。
その間には、息を飲むような景色や、足元にひっそり咲く美しい花が隠れている。
さあ、思考の自由を手に入れようじゃないか。
Let words be the wind. And the Ark sail.

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